教育プロジェクト5 多文化共生と想像力

ユニット
「日本」+「中東・アフリカ」+「アメリカ・太平洋」
代表
エリス俊子

経済的価値が牽引するグローバル化とグローバル化がもたらす文化的多様化・多元化のなかで、他者・異文化へと創造的に開かれた想像力を構築し鍛錬することの重要性がますます高まっている。本プロジェクトでは、「多文化共生と想像力」を中心的な問題関心に据え、そうした想像力の鍛錬のための実践的な導入を行う。ここでいう「多」の構成単位とは国民国家や民族、言語等に限定されるものではなく、ジェンダーや身体性、社会的強者と弱者といった様々なかたちでの線引きがもたらす「多」のあり方をも射程に入れるものである。境界の引き方そのものへの批判的な視座を獲得し、一方で、均質化の圧力としてはたらくグローバル化に抗するために、境界への眼差しを鍛えることによって、差異と向き合い、「共生」のあり方を模索し、そのための実践知を探ることを目的とする。

参加学生は、広域的文化研究を基盤としつつ、それぞれの専門分野にかかわる体系的な知識や関連する理論を学び、具体的な研究対象についての考察を進める。本プロジェクトでは、サマープログラムや現地調査などの実習の場を提供するほか、海外の大学と連携して共同授業、院生ワークショップ、シンポジウム等を積極的に企画し、実地での体験と合わせて対話力の強化、実践のためのスキルの習得等の訓練を行う。

昨年度に引き続き2017年度も“Critiquing Diversity”を共通のテーマとし、このテーマのもとで活動を展開する。活動の主要言語は英語と日本語。

プロジェクト運営は「日本」ユニット(リーダー:エリス俊子)、「中東・アフリカ」ユニット(リーダー:高橋英海)、「アメリカ・太平洋」ユニット(リーダー:矢口祐人)が中心となるが、総合文化研究科および本郷キャンパスの教員の協力を得て、教育活動を展開する。

プロジェクトに特有な授業例 (開講科目は年度によって異なる)

多文化共生・統合人間学演習VII/X/XI
(「日本」ユニット/「中東・アフリカ」ユニット/「アメリカ・太平洋」ユニット)

  1. 多文化共生と想像力 ─ 身体・眼差し・テクスト(日本ユニット)
    「多文化共生と想像力」をめぐるセミナーの一環として、「身体」をキーワードに、自文化/他文化への眼差し、身体表象の多義性、テクストとしての身体あるいは身体としてのテクスト、そしてそれらがどのようにして「共生」の問題に接続するか、また実践知としての展開につながるかについて考える。3週間に1回程度3コマ分の授業を行い、映画や文学テクストを取り上げて、ディスカッション形式で進める。学生主導でテクストを選び、開かれた議論の場をつくることに力点を置きたい。
  2. 多文化共生と想像力 ─ 中東地域のジェンダー問題について(中東・アフリカユニット)
    東アジアに住むわれわれは、中東・イスラーム世界についてあまり多くを知らない場合が多い。また、中東・イスラーム世界について語る際に、しばしば注目が集まるのがジェンダーの問題である。だが、中東地域における実際のジェンダーの有り様は外部の人々が想像しているものとは大きく異なる。本演習では、中東地域のジェンダー問題について、政治、経済、宗教などの多様な側面から考察することをとおして、「異文化」に対する理解力と想像力を養い、多文化共生社会の創出に向けての糸口を見出だすことを目的とする。
  3. Cultural Studies of the Pacific/Americas(アメリカ・太平洋ユニット)
    This course focuses on gaining an interdisciplinary understanding of North America and the Pacific through reading various academic articles on the area. It encourages the students to strengthen their theoretical framework for engaging in area studies/cultural studies as well as gain some fundamental information about the area. The class sessions are, in principle, conducted in English and all the reading materials will be in English.

多文化共生・統合人間学実験実習V (「多文化共生と想像力」プロジェクト)

  1. 多文化共存への問い ─ 東アジアの近代
    東アジア地域の大学と連携し、共同ワークショップの開催等を通じて、近現代における東アジアの歴史、文化、社会について、「想像力」をキーワードに多角的に取り組む。2017年度は、ソウルへ赴き、成均館大学、清華大学などの大学院生とのワークショップを実施する。
  2. 多文化共生と対話の実践
    多文化共生をめぐる想像力の鍛錬を目的とする実習科目。年度によっては海外に出向き、現地の学生との共同実習を行う。