IHSの理念

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急速なグローバル化の進展により、多文化間のコンフリクトがいたるところで噴出しています。コンフリクトには実に多様な現れがあり、そのひとつひとつが、わたしたちが取り組むべき課題を形成しています。そして、コンフリクトがあるところには共生の理想が宿り、多文化共生社会の実現に向けた希望が生まれます。

こうしたグローバル化社会における多元的共生の諸課題を解決するための学知、それが統合人間学です。既存の様々な人間をめぐる学を統合するという意味における統合人間学の根幹には、新たな教養・リベラルアーツという理念があります。本プログラムが提示する教養は、これまでの受け身の教養ではなく、グローバル化した現代世界を理解し、その中で活躍できる人材に求められる、「攻める」教養、すなわち発信・創造・実践、社会との連携へと直結する教養です。高度な専門性を備えたうえで、さらに広い視座を獲得し、それらに基づく洞察力と統合力をもって協働し、社会と共に新たな課題を発見し、新たな価値を創造・発信・実践していく学知です。

このような教育目標に基づき、本プログラムは、学際的・国際的領域としての統合人間学を修め、地球市民として多文化共生社会実現のための豊かな専門性とグローバルな教養を身に着け、社会との連携を通して創造的・具体的に実践する次世代トップリーダーを養成し、人文学・社会科学・自然科学の新たな大学院教育の理念になりうる統合人間学を社会に提示することを目指します。


共生のための統合人間学のテーマ群と地域群

では、具体的にはどのようにして多文化共生の課題にチャレンジすることができるでしょうか。本プログラムでは、統合人間学が扱うべき課題を、概念的な枠組みで、6つのテーマとして設定しました。価値・感性、格差・人権、移動・境界、情報・メディア、生命・環境、科学技術・社会の6つです。それぞれはどれも協働型の知見を必須とする複合領域であり、多様なディシプリン間の交渉によって、最先端の理論を生み出しうるテーマ群です。さらに、これらテーマ群により明快な具体性を与えるために、5つの地域的枠組み──ヨーロッパ、日本、東アジア、中東・アフリカ、アメリカ・太平洋──を交差させて考えていきます。テーマ的課題を現実に即して把握し、解決に向けた提案・実践へと直結させるために、必須となる枠組みです。この6つのテーマと5つの地域はそれぞれユニットを構成します。プログラム生はテーマユニットと地域ユニットからそれぞれ1つ、計2つのユニットを選択し、所属ユニットそして複数のユニットからなる教育プロジェクトの活動に参加することになります。

多文化共生の課題にチャレンジするための6つのテーマと5つの地域
多文化共生の課題にチャレンジするための6つのテーマと5つの地域

6つのテーマユニット

価値・感性

文化的価値のコンフリクトを人間の「交感」のありように注視し、感性のレベルから解き明かす

情報・メディア

デジタル・メディアがもたらす時間・空間の感覚、公的・私的領域の相互浸透。デジタル化時代の倫理を問い、ジャーナリスト、表現者を養成する

格差・人権

世代、貧富、国家、言語、民族、都市と地方、ジェンダー、障がい。様々な格差、そこで問われる人権の問題に取り組む

生命・環境

地球環境、宇宙環境に住まう人間を生命の観点において捉え、そこに存する人間と自然の摩擦と共存、更には共栄という問題圏にチャレンジする

移動・境界

多国籍企業内部の文化摩擦、有効な資源ガバナンスの構築、国際移民をめぐる包摂と排除などの問題の解決に取り組む

科学技術・社会

人間と科学技術と社会の三組構造の理解を促進し、科学技術社会における共生のスペシャリストを養成する

5つの地域ユニット

ヨーロッパ

EU諸国の経験と文化を多角的に理解し、「市民社会」の実験場としてのヨーロッパ的共生の概念の成立と可能性を改めて探る

中東・アフリカ

移民や貧困の問題を人間の安全保障と共生の観点から理解するとともに、イスラームに関して宗教的寛容さについての理解を深める

日本

日本における多文化社会形成の歴史的背景を理解した上で、日本文化の多様性が今日的な共生のためにどのような理論的枠組みを提供しうるのかを吟味する

アメリカ・太平洋

アメリカ流の新自由主義/新保守主義と多文化主義に焦点を当てながら、グローバル化に抗する多文化共生社会の可能性を模索する

東アジア

東アジア諸国の国家形成の歴史、および国家間の歴史をふまえた多様な価値観ならびにその複雑な現実を深く理解し、その地政学的リスクを熟知することを目指す


特色ある大学院教育のために

1.国際メンターズチーム

国際的・学際的なメンターズチームが学生のキャリアパスをサポートします。プログラムカルテを利用し、学生一人一人のニーズに応じたオーダーメイドの大学院教育を実現します。

2.多彩なインターンシップ

産業界・官公庁との社会連携を強化し、多彩なインターンシップ先を用意します。また、人文学⇔自然科学⇔社会科学の研究室を巡る、学内インターンシップを実施します。

3.留学プログラムと国際経験・3つの外国語に習熟

グラデュエート・カンファレンスや短期留学プログラムなど、国際的な環境での現場教育を行います。また、プログラム生は英語に加えて、他のヨーロッパ地域言語1ヶ国語、アジア地域言語1ヶ国語を習得します。

4.社会人リカレント教育

社会人リカレント教育を実施し、社会に統合人間学の知を還元します。

5.学部教育との一貫性

学部学生向けのグローバル人材育成のプログラムと連携し、大学入学から大学院修了まで9年間をトータルでサポートする体制を形成します。


オーダーメイドの教育を実現します

プログラム学生ひとりひとりの個性に合わせ、適切なキャリアパスをアレンジしていきます。 本プログラムは、多文化共生社会の実現に向かう希望を現実へと変える幅広い学知と豊かな専門性をあわせもつ博士号取得者を世界に送り出していきます。

キャリアパスの具体例として、グローバルに活躍する女性のジャーナリストを挙げます。